あれから10年、本当に早いねー
10周年おめでとう!
10周年おめでとう!
十年という月日は、案外あっけなく過ぎていく。
けれど、振り返ってみれば、いろんな瞬間が詰まっている。
2025年8月31日倉敷アイビースクウェアの広い会場。道場関係者の周到な段取りによって、盛大なパーティーが開かれていた。
テーブルにはローストビーフ、生ハム、串揚げ、唐揚げ、春巻き、サラダにフルーツ、それにケチャップ付きのソーセージまで並んでいて、大人と子どもの食欲を同時に満たすバイキング料理だった。僕は車で来ていたのでアルコールはご法度だったけれど、ソフトドリンクを片手に十分楽しめた。
会場のスクリーンには、菱川晋作――僕の古い友人であり、この道場の主――が格闘家として引退試合をした日の写真から、倉敷、岡山と道場を広げていく足跡が映し出されていた。画面が切り替わるたびに「月日ってやつは、実に早いな」と思わずつぶやいてしまう。
思えば、菱川道場のホームページを僕が主担当として立ち上げに協力したのも十年前だった。生徒募集や無料体験の申し込みフォームを組み込みながら、プロとして、できる限りの準備はしたつもりだった。それでも本当に人が集まってくれるのか、申し込みが滞りなく進むのか、心臓が少し早鐘を打つようなドキドキを感じていた。
けれど、スクリーンの中で流れる十年間の物語は、僕のそんな緊張を軽々と飛び越えていた。
菱川との付き合いは高校時代からだ。もう三十年以上になる。同じ美術工芸コースで絵を学んでいたのに、気づけば彼は空手家になっていた。映画監督になるんだと大学で映像を学んでいたのに、卒業する頃には黒帯を締め、日本一の実績をたずさえつつ、今やたくましい体で人を指導しているのだから、人の人生というのは実におもしろい。
一方、僕自身もその頃、岡山のデザイン制作会社を辞めて、ベンチャー企業のデザイナーへと転身していたのも約10年前だった。進む道は違えども、挑戦のタイミングは不思議と重なっている。ついでに言えば、僕の誕生日と菱川の結婚記念日もぴたりと重なっていて、これはもう縁というほかない。めでたいことが同じ日に起きるのは、悪くないことだ。
最後に、パーティー会場を見渡す。活き活きとした目をした子どもたち、保護者、道場関係者、大勢の人たちであふれている。その光景を見ながら、道場立ち上げ当初の、まだ数えるほどしかいなかった生徒さんたちを思い出す。「やればできる!」という道場のスローガンは、どうやら本当にその通りだったらしい。
僕はウェブ担当者として、これからも道場のサイトを手入れしていくつもりだ。検索順位を上げて、少しでも新しい門下生が集まるように。けれどそれ以上に、三十年来の友人が築き上げてきたものを、すぐそばで見守れることが、僕にとっては何よりの報酬なのだと思う。
十年、おめでとう。
そしてこれからの十年も、きっと面白いに違いない。