青年期
デッサン漬けの日々✏️ 愉快な仲間たちとの出会い!
デッサン漬けの日々✏️ 愉快な仲間たちとの出会い!
私が入学した高校は、岡山県立総社南高校の「美術工芸コース」。普通科の中に設けられたこのコースを選んだのは、勉強だけに青春を費やすのはつまらないと思ったからです。
「好きな絵で自己表現をして、楽しい高校生活を送るんだ!」と意気込んで入学しました。
しかし、期待と自信に満ち溢れていた入学当初の私に待ち受けていたのは、予想以上の厳しい現実。
漫画を描いてきた経験はあれど、「デッサン」という全く新しい挑戦が待っていました。
デッサンとは、見たままのモチーフを描き写す訓練です。輪郭や既成概念で描いていたこれまでのやり方とは全く違い、
重量感・質感・空間を総合的に把握して表現しなければなりません。リンゴ一つ描くのにも悪戦苦闘し、思ったように描けない日々が続きました。
先生の批評を受けるたびに、自分の見落としや過剰な意識に気づき、なかなか満足のいく作品が描けないことが悔しかったものです。
それでも、友人との批評や刺激し合う環境があり、この挑戦はいつしか楽しいものとなっていきました。
高校時代のデッサンで最も重要なモチーフといえば、石膏像です。真っ白な像は、色の影響を受けず、光と影の関係性を探求するのに最適な題材でした。
ヴィーナス像などと向き合いながら、立体感や光の流れを追求する時間は、まさに「自分との闘い」でした。
時には「高校時代は女の子よりも石膏像に恋していた」と冗談を言いたくなるほど、石膏像との時間に夢中でした。
それは充実感に満ちた貴重な体験でした。
デッサンに欠かせないのは、木炭や鉛筆、木炭紙などの道具たち。これらを高校生のお小遣いで揃えるのはなかなか厳しく、昼食代を削ることもしばしばでした。
さらに、新しい木炭紙に描いては失敗し、また新しい紙を使うという繰り返しで、道具への投資は増えるばかり。
友人がうっかり木炭を踏んで割るなんてハプニングもありましたが、それも今では笑い話です。
石膏デッサンは、今でも私にとって難しい課題です。当時の私は、先生の批評に反発してばかりで、もっと素直に受け止めていればよかったと反省しています。
それでも、この経験が今の私の基礎を作ってくれたことは間違いありません。視覚表現の土台となるデッサンを学べたことは、どんな宝物にも代えがたいものです。
「これからですよね、先生!見ててください!」――そんな思いを胸に、私はこれからも絵を描き続けます。