久しぶりの再会と、創作を語る日曜画家と仲間たち
楽しい時間はあっという間に過ぎますね!🍖🦐🌲☁️
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私は日曜画家だ。
ふだんは仕事の合間を縫って、絵を描いている。筆を握るたび、高校時代のことを思い出す。美術工芸コースで学んだあの時間が、今の自分の根っこにあるのは間違いない。
そんな仲間たちと、数年ぶりに再会した。
集まったのは、私を含めて3人。皆、同じ高校で美術を志した旧友たちだ。卒業してから何十年も経つというのに、こうして声をかければ集まれる友がいることは、本当にありがたい。
今回の集合場所は、友人O氏の暮らす岡山・苫田郡鏡野町。
彼は今、古民家を借りて、そこで焼き物を作っている。山に囲まれた静かな場所で、自然のリズムに寄り添いながら、窯と向き合う日々を送っているという。
辺鄙な土地だが、不便は感じないらしい。今はネットでほとんどのものが手に入る時代だ。
普段デジタル環境に囲まれて制作している私としては、自然に包まれて創作に没頭できるO氏の環境が、ちょっぴり羨ましくもある。
なにより、今も変わらず作品と向き合い続けている仲間がいることが、嬉しかった。創作という道を続けるには、思った以上に「同志」の存在が心の支えになる。
今回の集まりを企画してくれたのは、奈良に住むU氏。
彼は教師をしていたが、今は林業の道へ転身して頑張っているという。柔らかな物腰で、礼儀正しく、昔から変わらずホッとする存在だ。
彼の旅好きは健在で、中国・四国の道という道を走破しているらしい。手元の地図は、通ったルートが赤マーカーで埋め尽くされているとか。
今回はなんと、スーパーカブで奈良から片道10時間をかけてやってきたというから驚きだ。まったく、相変わらずのツワモノである。
岡山市内の自宅から、鏡野町に向かって車を走らせた。
天気は快晴、青空の下に広がる新緑が心地よい。GWの風は穏やかで、気温もちょうどよく過ごしやすい。
久しぶりの再会に、身だしなみにもいつも以上に気を遣った。散髪を済ませ、車はガソリン満タン、洗車も済ませて抜かりなし。途中コンビニに立ち寄って、温かいお茶とバーベキュー用のお惣菜を調達し、少しだけ昔のことを思い出していた。
学生時代は毎日のように顔を合わせていたのに、大人になると、会える機会は本当に少なくなるものだ。
約3時間のドライブを経て、目的地に到着。
道の脇でU氏が笑顔で手を振っていた。「僕も今着いたところ」とのこと。古民家の玄関には鹿の角が飾られ、脇にはたんぽぽが揺れていた。
O氏が「お久しぶり!」と、満面の笑みで出迎えてくれる。
互いに年相応の貫禄は出てきたけれど、テンションも雰囲気も昔のままだ。
室内で焼肉の準備を始める。和牛とエビ、新鮮な食材が並ぶテーブルを囲みながら、話は自然と創作のことへ。
話題はAI時代の創作へと移る。
「音楽も絵も、AIが作れる時代になったけど、感動まで数値化されるのかな」
「でもさ、結局“いい作品”に気づける感性は、人間の心に宿るものなんじゃないか」
そんな話をしながら、少しだけ昔に戻ったような気がした。
O氏の窯を見学させてもらい、焼き物の話を聞く。薪の確保や作業の手間、年に何度も焼けない難しさ――それでも作品を生み出す喜びがあるからやめられないという。
その後、白賀渓谷へ。澄んだ渓流のそばを歩きながら、マイナスイオンたっぷりの空気を胸いっぱいに吸い込む。
日常のノイズが洗い流されていくような感覚があった。
「また会おうな」
この年齢になってくると避けて通れないのかもしれないが、今回の再会の間に交わされた会話の中に、同級生が亡くなった知らせもあった。
別れ際に交わした「また会おうな」という言葉には、「生きているうちにまた絶対に会おう」という静かな想いが込められていたように思う。
笑顔で再会を約束し、それぞれの帰路へ。
年齢を重ねても、こうして語り合える仲間がいること。それがどれほど貴重なことか、今になってようやく実感している。
帰り道、車の窓から見える夕暮れの景色に、少しだけ胸が熱くなった。
また描こう。今日感じたこの温度を、筆に込めて。