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ドラゴンクエストウォーク「まおうのつかい論」──728体目の奇跡

ドラゴンクエストウォーク、通称ドラクエウォーク。
リリース初日から、僕の靴底はこのアプリに人生の摩耗を預けてきた。

現実世界を歩きながら、ドラクエの世界を旅する位置情報RPG。
歩けば歩くほどレベルが上がる──なんて、なかなか詩的じゃないか。

その中でも僕が特に力を注いでいるのが「仲間モンスター」だ。
モンスターを倒して、仲間にして、育てて、戦わせる。
いわばモンスター版ポケモン育成、ただし気の遠くなるような確率の海を渡る必要がある。


“素質”という名の運命

仲間モンスターには“素質”というステータスがあり、

の5段階でランク分けされている。
もちろん“極”が最上。しかし、極が出る確率は噂によると100体中1〜2体。これはもう、近所の神社でガチャ祈願でもしないと割に合わない。


性格と行動傾向

素質だけ揃えばOKかと言えば、もちろんそんなわけはない。
仲間モンスターには“性格”があって、これがバトル中の行動に大きく影響する。

たとえば僕が長らく追い求めていた「まおうのつかい」というモンスター。

こいつは物理も魔法もこなす万能アタッカーなのに、性格がズレてると、全然仕事をしてくれない。攻撃してほしいのに、なぜか相手を呪おうとする。
こっちは笑ってもいられない。


理想の「まおうのつかい」

理想とする「まおうのつかい」のスペックはこうだ:

  • 素質:極
  • 性格:いっぴきおおかみ(単体攻撃45%、全体攻撃45%、弱化10%)
  • スキル
    • LV30時点で:イオマータ or マヒャド
    • LV50時点で:はげしく斬りつける

ここに、もう一つの厄介な仕組み──スキル分岐が絡む。

LV30で覚えるスキルは3択で、

  • Bランク:ルカナン
  • Aランク:イオマータ
  • Aランク:マヒャド

イオマータかマヒャドを覚えてくれれば御の字なのだが、なぜかルカナン(相手の守備力を下げる魔法)を覚えてしまう個体が多い。
これを引くと、せっかくの極&良性格でも、ほぼお蔵入りだ。君の活躍の場はない。


ちなみに、確率を計算すると
必要条件:
1. 素質「極」:出現率 1%〜2%(= 0.01〜0.02)
2. 性格「いっぴきおおかみ」:全8種のうちの1種 → 12.5%(= 0.125)
3. スキル(LV30)で「イオマータ or マヒャド」を覚えている
→ 分岐3択(ルカナン/イオマータ/マヒャド) → Aスキル2/3 → 約66.7%(= 0.667)

確率計算:
• 最低値想定:
0.01 × 0.125 × 0.667 ≒ 0.000834 → 約0.08%(= 約1200体に1体)
• 最大値想定:
0.02 × 0.125 × 0.667 ≒ 0.001668 → 約0.17%(= 約600体に1体)


そして、728体目の奇跡

そんな気の遠くなるようなモンスター厳選を、僕は1年以上にわたって続けていた。
途中、いっぴきおおかみ×極の個体を3体引いたが、どれもBランクスキルのみで、心が折れそうになった。というか、正直一回は折れた。カフェで天を仰いだ。

それでもあきらめずに歩き続け──
728体目にして、ようやく現れた。

  • 素質:極
  • 性格:いっぴきおおかみ
  • スキル:イオマータ

泣きそうだった。
というか、少し泣いた。
駅前のベンチに座って、少し風に当たりながら、ただスマホの画面を見つめていた。


確率と執念のあいだで

人生と同じで、うまくいくかどうかは運が大きい。
でも、運だけでもない。
執念と、ちょっとした変人力と、スニーカーのソールの減り具合が、何かを引き寄せることもあるのだと思う。

僕はこれからこの「まおうのつかい」を、大切に育てていくつもりだ。
なにせ、728体分の思いが詰まっているのだから。

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